偕楽園と弘道館の美しい梅林

前号では、水戸藩9代藩主・徳川斉昭(なりあき)が造園した偕楽園に秘められた時代背景と、陰と陽を表現した世界について取り上げた。今週は梅の香りが広がる偕楽園の梅林を紹介したい。
園内には100種3000本もの梅が咲き乱れる。昭和9年、中でも花の形や色、香りが優れる6品種を水戸の六名木と定めた。薄紅色で卵型の花弁が特徴の「烈公梅(れっこうばい)」は斉昭の諡号(しごう)にちなみ付けられた名前。他にも、深紅色の八重咲で大きな花弁が特徴の「江南所無(こうなんしょむ)」など、3月中旬にかけて多様な品種が見頃を迎える。
偕楽園では2月中旬から3月下旬にかけ「水戸の梅まつり」を開催。次回は令和2年2月15日~3月29日の開催で、124回目を迎えるという。週末には偕楽園を中心に水戸市内の各所で、梅酒まつりや茶会、伝統的な舞が披露されるなど、さまざまな催しが開催される。
偕楽園と合わせて訪れたいのが「弘道館」。水戸藩の藩校として斉昭により天保12年(1841)8月に創設。国の特別史跡となっており、敷地には60種800本の梅が植えられ、偕楽園と共に梅の名所となっている。
勉学に励み、弓を張り詰めるように張り詰めた気持ち「一張」と、弓を弛めるように気持ちを安らげる「一弛」の心得を体現する環境をつくったのも斉昭の狙い。平成27年4月には「近世日本の教育遺産群」として日本遺産に認定された。
偕楽園・弘道館へは水戸駅からバスで約20分。水戸の梅まつりの開催期間中は、JR常総線で偕楽園臨時駅が設けられる(下りのみ)。この春、紅と白の色合いが美しく、梅の芳香が漂う水戸を旅してみては。
(次田尚弘/水戸市)