虐待受けた高齢者147人 県18年度調査
2018年度に和歌山県内30市町村で受け付けた高齢者虐待に関する相談・通報は271件(前年度277件)、虐待と判断された事例は143件(同156件)、虐待を受けた人は147人(同169人)で、いずれも減少したことが県のまとめで分かった。
県長寿社会課によると、相談・通報のうち、養介護施設従事者等による虐待に関するものは17件で、虐待と判断された事例はなし。養護者による虐待に関するものが254件で、うち虐待と判断されたのが143件、147人が虐待を受けていた。
虐待と判断された事例の内訳は、虐待の種別(複数回答)でみると、殴る蹴るなどの身体的虐待が82・3%(121人)で最も多く、言葉などによる心理的虐待が24・5%(36人)、介護などの放棄が8・8%(13人)、預金を勝手に使うなどの経済的虐待が8・2%となっている。
虐待の深刻度は、5段階評価で1番目の「生命・身体・生活への影響や本人意思の無視等」が最も多い51・7%、次いで3番目の「生命・身体・生活に著しい影響」が38・8%に上った。
虐待を受けた高齢者の70・1%を女性が占め、要介護認定者は半数弱の45・6%、年齢別では80~84歳が23・8%で最も多かった。
虐待をした人の高齢者との関係は、息子が38・2%で最も多く、次いで夫が26・1%、妻が11・5%の順。高齢者と同居しているケースが86・4%に上った。
世帯構成は、夫婦のみが32・0%、未婚の子と同居が31・3%、配偶者と離別・死別した子と同居が10・9%だった。
虐待への対応は、37・2%で介護保険サービスの利用や一時入院など、虐待者と高齢者を分離する措置を取った。
虐待の防止、対応に向けた市町村の体制整備などの状況をみると、独自の対応マニュアルや業務指針などは30市町村全てが作成しており、地域包括支援センターなど関係者への研修の実施(83・3%)などは取り組んでいる市町村が多いが、介護保険サービス事業者等からなる「保健医療福祉サービス介入支援ネットワーク」の構築への取り組み(20%)などは低い割合にとどまっている。