紀美野の魅力を提案 中高生ら未来フォーラム
和歌山県紀美野町内の中学・高校3校による合同地域探求発表会「きみの未来フォーラム」が5日、下佐々の野上中学校体育館で開かれ、町の地域資源や観光振興の提案など、生徒たちが学びの成果を披露し、地域住民と共に地域の将来について話し合った。
3校の地域との関わり合いの成果を同じ場で発信することで、学びの刺激を生み、大人と若者が町の魅力や課題を共有し、町の次世代を担う人づくりや地域活性化に生かそうと、町と町教育委員会が企画。会場には生徒と住民ら約120人が参加した。
野上中1年生は、調べ学習の成果を発表。地域の信仰を集める野上八幡宮については、安土桃山時代に戦乱に巻き込まれて全焼した歴史などを紹介した。町内の特産紹介の中では、かつて生産が盛んだった和ろうそくの原料、ブドウハゼを使ってアロマキャンドルを作るなどの提案があった。
同中2年生は町内15施設で行った職業体験の結果を報告。生徒がナレーションをした動画をスクリーンに映しながら、「大人の苦労を身をもって知った」「大変だけど人に喜んでもらえる仕事はうれしい」などの感想を発表し、地元にありながら接する機会の少ない和紙作りなど珍しい産業の魅力も紹介した。
海南高校大成校舎の2年生は、みさと天文台やシュロ産業、伝統芸能などについて学習。天文台と町内の古民家を連動させた体験型観光などを提案し、シュロの加工技術を生かした新産業や、町内のカフェを平日もにぎわうようにする方法などを今後も考えたいとした。
りら創造芸術高校の1、2年生は、海南から紀美野、高野山をつなぐルートに新たなサイクリングコースやキャンプ場を設けるなどの観光戦略を提言。稲作に関する所作などを伝える地域芸能「御田の舞」の継承活動を紹介し、生徒によるユニット「えぷろんず」が「田んぼでお米を作りましょ」を歌った。
各校の発表の後、グループトークに移り、町と地域連携推進の包括協定を結ぶ和歌山大学の藤田武弘教授をファシリテーター(進行役)に、生徒と住民が10人程度ずつのグループに分かれて車座になり、「未来の紀美野町に必要なモノ」を話し合った。
野上中1年の前部屋光稀君(13)は「発表の準備は大変で緊張もしたが、うまくできたと思う。みんなの前で発表すると、勉強が深まる感じがする」と話していた。