徳川家の信仰厚い「鹿島神宮」
前号から、水戸徳川家と縁のある茨城県内の観光地や特産品を取り上げている。今週は水戸市から南南東へ約50㌔、鹿嶋市にある鹿島神宮を紹介したい。
常陸国一宮の鹿島神宮は東北・関東を中心に全国600社存在する鹿島神社の総本山で武甕槌神(タケミカヅチ)を祭神とする神社。その歴史は古く、紀元前660年の創建。祭神の武甕槌神は、天照大御神の命を受け、香取神宮(千葉県香取市)の御祭神・経津主大神(ふつぬしのおおかみ)と共に大国主命(おおくにぬしのみこと)と話し合い、国譲りの交渉を成就させたという。東国遠征の拠点とされ、皇族や藤原氏から崇敬を受け、国の守護神として信仰されてきた。
12年に一度行われる御船祭(みふねまつり)は、御祭神である武甕槌神が3000人に及ぶ大行列と100隻を超える船団を率いて、香取神社の御祭神である経津主大神と水上で出会う鹿島神宮最大の神事で、約1700年前から伝わるという。
徳川家からの信仰も厚く、現在の社殿は2代将軍・秀忠、奥宮は家康、楼門は水戸藩初代藩主で水戸徳川家の祖(紀州藩初代藩主、頼宣の弟)頼房により奉納されたもので、重要文化財に指定されている。
東国三社の一つである鹿島神宮は、正月三が日となると大勢の参拝客でにぎわい、神宮の大鳥居へと続く賛同の仲見世巡りも楽しみの一つ。
JR鹿島線鹿島神宮駅下車、徒歩約10分。東京駅から運行される高速バスの利用が便利で所要時間は約2時間。歴史が深く、多数の重要文化財が残る鹿島神宮の参拝をお勧めしたい。 (次田尚弘/鹿嶋市)