地域医療の火を手に 聖火ランナー西山等さん
生まれも育ちも和歌山県和歌山市だが、那智勝浦町ゆかりの聖火ランナーに選ばれた。
桐蔭高校、県立医科大学を卒業し、県内各地で精神科医として勤務。2007年から新宮市内の病院で働いたことをきっかけに、紀南が大好きになった。
紀南は人と人との距離が近く、人柄はほんわかして温かい。医療面では課題が多く、高齢化が進む住民が選べる病院や診療所は限られ、高度医療などは遠方に出掛ける必要も出てくる。11年9月の紀伊半島大水害では、とりわけ課題を目の当たりにした。
自宅のある和歌山市での開業も考えたが、「困っている人の場所でやりたい。自分にしかできないのではないか」と思い、18年8月、同町内に「くまのこころのクリニック」を開院。来院する人は熊野地方の各地に広がる。
ランナーに応募したのも、医療過疎地の現状を知ってもらい、地域医療の火をつなぐ人が続くのを願ってのこと。
野球をしていた小学生の頃からスポーツは大好き。新宮での勤務時代にジョギングを始め、大阪マラソン、東京マラソンにも出場した。
五輪は、多様な問題がある世界にあって、「どこの国でも参加でき、平和になれるイベント。同じ地球に生まれているんだと感じさせてくれる」。
大会は中止ではなく延期。開幕の日を心待ちにしている。