思い出胸に旅立ちの春 手作りの卒業式も

新型コロナウイルスの影響で正式な卒業式や入学式が叶わなくとも、思い出とともに節目の記録を――。このほど、和歌山県海南市下津のカフェcolline(コリン)で、手作りの卒業式と入学式が行われた。カフェを経営する足立まゆみさんがスタッフとその娘を思い、手作りの式で門出を祝福した。

特別な式の主人公となったのは、今春県立星林高校を卒業し、バレエダンサーを夢みて東京の大学へ進学する村田穂乃花さん(18)。

穂乃花さんは高校の卒業式が縮小され、大学の入学式も延期に。それを知った足立さんは何か力になれないかと、手作りの式典を計画。記念の写真撮影を同市のカメラマン、保田敏行さんに依頼した。

足立さんはカフェの2階を使い、音楽を選曲。音楽が流れる中、制服姿の穂乃花さんが母親のみゆきさん(49)と腕を組んで入場すると、店内は拍手に包まれた。みゆきさんは筒に入った卒業証書を穂乃花さんに手渡し、穂乃花さんは壮大な世界感を表現する歌手のエンヤの音楽に乗せて、しなやかなバレエのダンスを披露。保田さんは、かわいらしさの残る女子高生から、洗練された大人の女性へと成長していくという演出でシャッターを切った。

穂乃花さんは「卒業式では一緒に写真を撮ることもできなかったのでうれしい」、みゆきさんは「母娘でいい記念になり良かったです。一生の思い出になりました」と笑顔だった。保田さんは「思いが詰まった記念日を、写真で残すお手伝いができて幸せです」と話していた。

保田さん㊨の前でポーズをとる穂乃花さん㊥とみゆきさん