パンデミックを乗り越える 突きつけられた多くの課題

【1】緊急事態宣言が延長されました。皆さんのご協力で感染者数が大きく減少してきましたが、十分なレベルではないためです。国民生活の安全と安心のため、緊急事態への当面の対策は、
①コロナウイルス対策
引き続き気を緩めることなく注意深く丁寧に対処して、新規感染者数が退院者数を下回る水準にすることが必要です。
先例のスペイン風邪の時は、1918年秋から21年春まで3回流行し、特に第二波の致死率が高かったそうです。それだけに治療法やワクチンの開発を世界と協力して、早急に実現することは喫緊の課題です。
②経済対策
経済への影響は、当初観光関連が中心でしたが、現在は幅広い業界に及んでいます。まさしくリーマン・ショックを超える世界的規模での影響が出ています。
まずは倒産を防ぎ雇用を守るための課題を解消すべく、当初予算とともに補正予算を速やかに執行し、その上で状況を見ながら1・5兆円の予備費の活用や新たな対策などを遅滞なく講じていかねばなりません。
【2】今回のパンデミックを通じて今後対応すべき多くの課題が惹起されました。
①「緊急事態」への対応
私権の制限についてさまざまな議論がなされていますが、憲法改正が必要なのか、現行法で運用可能なのか、法学者による整理が早急に必要です。
パンデミックに限らず、予想される巨大災害に適切に対応するためにも、喫緊の課題です。
②中国の隠蔽体質の改善
今回のパンデミックの根本的な原因は、「すでに昨年末に中国国内で重大な感染症が発生していることが関係者間では認識されていたにもかかわらず、中国共産党の都合で情報が隠蔽され発表が遅れ、春節などとも重なったたことで一遍に世界中に拡散した」ことです。
速やかに情報が開示され対策が講じられていれば、被害は極めて少なかったはずです。
今後、情報の隠蔽で同じ過ちを繰り返してはならず、中国がこのことをどう改善するか極めて重要であり、決してゆるがせにできません。
③政治制度によって異なる対応
各国の対応は、政治制度の違いによって長所・短所が現れました。中国のような「社会の秩序を重視する強権的な監視型の国家」と、日本や欧米諸国のような「基本的人権を大事にする自由主義の国家」です。
今後政治制度として、自由と秩序のバランスをどこまでとっていける社会にするのか、合意形成が必要になってきます。
その際、私権の制限をどのような場合に、どのような形でどこまで認めるのか、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の進展とプライバシーの関係にどう対応するのか、などが重要な論点です。
④経済面での影響
(1)製造業の過度な中国依存の問題点が浮き彫りになり、今後日本がどんなサプライチェーンの見直しやバリューチェーンの構築をおこなうかが課題です。
同時に、緊急事態時の安定供給という安全保障と経済合理性を、どう両立させるかも極めて重要です。
(2)今回最も大きな変化をもたらしたのは、自粛に伴う在宅勤務でのテレワークです。
今まで懐疑的であった方々も、比較的スムーズに導入されたことで今後積極的に対応し、企業のあり方や働き方が大きく変わると思われ、同様に遠隔医療や遠隔教育の分野についても、今後急速に普及していくと思われます。
⑤社会への影響
オンラインシステムの普及は、テレワークのみならずDXを加速させ、紙媒体の文化を大きく変えることになります。
マイナンバーカードの普及は必須であり、また5年後には同時翻訳レベル、10年後にはネゴシエーション・レベルにまで進化するとされる多言語翻訳機などとも相まって、社会も産業も医療も教育も大きく変わっていきます。
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以上のような課題にしっかり取り組み、パンデミックを乗り越え、輝かしい未来とすべく頑張ってまいります。