支援の迅速化急務 企業にコロナの影響拡大
新型コロナウイルスの企業活動への影響について、東京商工リサーチが行った第4回アンケート調査(4月23日~5月12日)で、何らかの影響があると答えた和歌山県内企業は96・9%に達した。政府の緊急事態宣言が徐々に解除されているものの、経済活動の回復には時間を要すると考えられ、同社は「今後、支援策の申請が殺到することが想定され、迅速な取り組みが求められる」としている。
調査はインターネットで実施し、全国の有効回答は2万1741社、県内は129社だった。
県内の企業活動への影響は、「すでに影響が出ている」が75・2%(前回58・2%)に増え、「今後出る可能性がある」の21・7%(同39・8%)と合わせて回答したほとんどの企業が影響を受けている。
産業別では、「すでに影響が出ている」との回答が9業種で5割を超え、総回答数の多い製造業や卸売業でも7割を超える高水準となった。「今後出る可能性がある」と答えた企業が多かったのは不動産業(50%)、建設業(43・75%)などで、現状は工事があるものの、建設業界は景気の影響が遅れる特性があり、今後は受注の保留や先送りが出てくる可能性があるとの見方から、今後の景気動向を注視している様子がうかがえる。
「すでに影響が出ている」と答えた企業に内容を聞くと(複数回答)、最多は前回に続き「売上(来店者)が減少」の70社(前回比33社増)。次いで「商談の延期・中止」が52社(同28社増)、「出張の中止、延期」が52社(同19社増)。「営業(稼働)日数の減少」も33社(同28社増)に増加しており、緊急事態宣言による経済活動の停滞の影響がみられる。
新型コロナの関連倒産が全国で増加する中、県内では18日時点でまだ発生していないが、今後発生する可能性は否定できない。
感染拡大防止のための在宅勤務、リモートワークの実施状況は、回答した128社のうち実施したのが32・03%(41社)にとどまり、全国の実施率55・9%、特に大企業の83・3%とは大きな開きがあった。
政府の支援策である「新型コロナウイルス感染症特別貸付」や「セーフティネット貸付・保証」の利用状況は、回答した123社のうちすでに利用した企業は9・76%(12社)だったが、今後利用する可能性があるとした企業は46・34%(57社)に上り、手続きの早期化が求められる。
4月の売上高について、前年同月以上の増収と答えた企業は27・37%で、全国調査の24・98%を上回ったが、72・63%が前年割れとなった。半減以下の企業は、前回より5社増えて11社だった。
感染終息が長引けば、売上高が前年同月比50%以上減少の事業者に対する政府の持続化給付金などの支給対象は増加することから、東京商工リサーチは「中小零細企業の疲弊は深刻さを増しており、支援金や給付金などの支援が各企業に迅速に届くことが急務と考えられる」としている。