桃大好き若手農家 桃山に移住4年の諸星さん

「桃マニアになりたい」――。4年前、大阪府高槻市から和歌山県紀の川市桃山町に移住した桃星農園(同町神田)の諸星勇佑さん(30)は、桃を愛し生産する若手農家。桃の本格シーズンを迎え、多くの人に「『あら川の桃』をもっと食べてほしい」と話し、高品質の桃作りと認知度アップに奮闘する日々を送っている。

諸星さんは山あいで育ち、少年時代から食べることが大好き。大学は農学部に進み、さらに大学院では環境についての研究をしてきた。

園芸関連の仕事に就く中で、「自分でおいしい桃を作りたい」との思いが膨らみ、農地を探し、全国有数の産地である桃山町に4年前に移り住んだ。「地域の人々が温かく受け入れてくれてありがたかった」と地元の人々の優しさにもふれる移住となった。

桃は1丁(約1㌶)の土地で育てている。出荷時期には午前5時から仕事をし、選果や箱詰めなどの商品作り、畑の管理など作業は夜遅くまで続く。重労働だが、諸星さんは相当なポジティブ思考の持ち主。「作業が楽しい。鳥の声を聴き、雨上がりの青空を見られる。農業は自然との営み。生きることを知ることができて最高です」とにっこり。

諸星さんの桃作りは、できる限り環境に負荷をかけないよう除草剤は使わず、こだわりの有機肥料を使って育てるのが特色。とりわけ、肥料と水やり、収穫前に水をどうはくかを重視している。

「味が大事。満足できる桃をいかに作り、喜んでもらうか」と諸星さん。顧客からの「おいしい」の声や、自分が作った桃を購入し、食べてくれる人の笑顔を思い浮かべながら、一つひとつ大切に育てる。「桃についてならあいつに聞け」と言われるような存在になるのを目標にしている。

現在の課題は、収穫した桃を管理する倉庫を同町内で見つけること。自分のような新規就農者をいかに増やすかについても対策を練っているという。

諸星さんは「『あら川の桃』は全国的にはまだまだ知られていない。もっと認知を広げるために、地域や農家がチームになって盛り上げていきたい」と力を込める。

「おいしい」の声と笑顔がやりがいと諸星さん

「おいしい」の声と笑顔がやりがいと諸星さん