許認可判断なされず苦慮 楠見メガソーラー
和歌山県和歌山市楠見地区で建設が計画されている大規模太陽光発電施設(メガソーラー)「和歌山平井太陽光発電事業」は、事業者が昨年4月に県、同7月に市に事業計画を申請し、有識者による審議会などを経て許認可の判断が待たれている。予定地の山林を所有し、計画に賛成している農事組合法人奥楠見花木生産組合(杉本匡総代、組合員31人)は5日、同市の河北コミュニティセンターで総会を開催。申請から長期にわたって判断が示されないことへの苦慮や不満の声が上がった。
計画の事業主体は、㈱SUNホールディングス(東京都)内に設立された和歌山太陽光合同会社。65・94㌶の山林に約12万7000枚の太陽光パネルを設置する計画で、計画地の半分の33㌶を切り土や盛り土で造成し、雨水などをためる調整池を4カ所造るとしている。
同組合は、1978年から山林の開発と管理、保全を担ってきたが、組合員の高齢化と後継者不足により2016年に解散を決議。同社のメガソーラー計画に対し、開発後も森林の維持、管理を行うこと、下流域の安全対策に万全を期すことなどを条件に賛成し、山林の売却を決めている。
計画を巡っては、森林伐採による大規模な土砂災害や河川の氾濫の可能性、景観の破壊などの懸念を理由に反対運動が起こり、楠見地区連合自治会として、反対署名の提出や反対を示す看板の設置などが行われている。
同組合の総会では、計画地に近い複数の単位自治会が賛成する中、連合自治会名で反対の意思が示されたことへの疑問の声が上がった。また、南の麓から見た和泉山脈の写真上に計画地を斜線で示した反対看板について、計画地は峰の奥に位置し、麓から実際に太陽光パネルが見えるわけではないとして、事実と異なる印象を与えるものとの批判もあった。
総会には同社の担当者も出席。計画に対する県、市の対応について、「許認可の判断は、あらかじめ公開された基準に基づいてなされるべきで、われわれは法令上も科学的にも問題ない設計を示しているつもりだが、基準以上のことを求められているかのように思われ、苦慮している」と話した。