古里を木版画で鮮やかに 山本秀太郎さん
和歌山県和歌山市の山本秀太郎さん(88)の木版画の展覧会「万葉木版画展」が8月30日まで、同市和歌浦南の片男波公園万葉館で開かれている。
初の個展で、新和歌浦や友ヶ島など県内の名所の他、海外の風景を題材にした多色刷り木版画25点を展示。山本さんは「にぎやかで面白い作品が並びました。少しでも晴れやかな気持ちになり、皆さんに『楽しいな』と感じてもらえればうれしいです」と笑顔で話している。
山本さんは和歌山文化協会の名誉会員。父の秀臣さんが設立した95年の歴史がある絵画団体「エトアール洋画会」のメンバー。
版画を始めたのは今から約70年前、年賀状に樹脂素材で版画を刷ったのがきっかけ。「余白に少しずつ色が埋まり、一つの絵になっていくのが面白くて」と会社勤めの傍ら、独学で創作。旅行で訪れた海外の風景などを版画にしてきた。
仕事で各地を転々とし、定年退職後、古里の和歌山へ。「手間と根気のいる作業ですが、手を動かしていると自然と心が休まるんです」と、日々作品に情熱を注いでいる。
会場には春の和歌山城や橋杭岩、桜の間から望む名草山など、温かく素朴な風合いの木版画が並び、山本さんは「和歌山には心引かれる美しい風景がたくさんあり、もっと作品に残していければ。今後は少し大きな作品にも挑戦してみたいですね」と話している。
午前9時から午後5時(入館は4時半)まで。問い合わせは同館(℡073・446・5553)。