友好への誓い新たに 日中平和の塔を移設

和歌山県海南市日方の燦燦(さんさん)公園にあった記念碑「日中両国平和の塔」が海南nobinos(ノビノス、同市日方)に移設され、15日に移設式と日中友好協会県連合会による平和のつどいが行われた。

記念碑はまだ日中国交が回復されていない1971年、県連合会が当時記念碑の建設委員長だった明楽光三郎市長らが県民らの協力を得て同市みなと公園に設置。その後、燦燦公園に移設され、市役所の移転に伴いノビノスの駐車場内に移された。

式典は新型コロナウイルス感染症対策のため、除幕式などは取りやめ。黙とうの後、同会海南支部の幡川文彦支部長が設置の経緯を説明し、「国の情勢が変わっても、人民の友情は消えない。記念碑に込められた思いを糧に、友好を深めて不戦の誓いを引き継ぎたい」と話した。神出政巳市長は「友好は不変であることを心掛けて、今後も記念碑が倒れるようなことがないように、ノビノスとともに愛されていってほしい」とあいさつした。

ノビノス内で行われた平和のつどいでは、強制労働について調査する「紀州鉱山の真実を明らかにする会」の金靜美(キム・チョンミ)さんが「紀伊半島西部と日本の戦争―碑から考える―」を演題に講演。慰霊碑や供養塔など戦争にまつわる碑を取り上げ、「歴史の片面だけを伝えている碑が多い。伝えられていない部分を伝える碑を作るのは難しくても、行動はできる」と語った。

移設された記念碑のそばで黙とうをささげた

移設された記念碑のそばで黙とうをささげた