中央郵便局の歩み 市立博物館でパネル展
和歌山中央郵便局(和歌山県和歌山市一番丁)の歴史や歩みを紹介するパネル展が27日まで、同市湊本町の市立博物館1階玄関ホールで開かれている。昭和20年代から30年代に撮影されたものを中心に34点を紹介。戦後の郵便事情や郵便局の変遷がまちの風景とともに写し込まれ、訪れた人は「懐かしい」と見入っている。
同郵便局が、ことし3月に局舎やさまざまな活動を撮影した写真アルバム4冊を同館に寄贈したことから、同館が館蔵資料を含めて貴重な記録を紹介しようと企画した。
前身となるレンガ造りの「和歌山郵便局」は1901年、同市十一番丁(京橋南東詰)に建設された。和歌山大空襲で被災後は砂山国民学校(現砂山小学校)や和歌山中学校(現桐蔭高校)などで仮業務を続け、1947年に現在の一番丁に新築。87年に「和歌山中央郵便局」に改称した。
写真はまちの様子や暮らし、時代を克明に捉えている。明治期の「和歌山郵便局」を写した建物は重厚で風格があり、現在の場所に建つ木造2階建て局舎の写真は戦後の面影を残している。
その他、初めてのお年玉付き年賀はがきを宣伝しようと、自転車の荷台に幕を張り付けて走る自転車隊、自転車やバイクによる元旦の年賀はがき配達の出発式の様子、川の氾濫で橋が流されたため、滑車にまたがり郵便物を届けに向かう配達員の姿を写した一枚もあり、局員の仕事ぶりを伝えている。
機械の自動化などにより、仕分けや配達のスピードは向上したものの、取集や仕分けなど人の手を介した基本的な作業は変わらないという。同館の太田宏一学芸員は「今なら宣伝はSNSでするでしょうが、当時は自転車や宣伝カーでの広報。配達でも分厚い年賀状の束を手渡しするなど人が直接対面し、郵便業務は私たちの生活になじんだものであることが伝わってくる。写真からは温かみが感じられるはず」と話す。
和歌山中央郵便局の石橋守局長は「先輩から受け継がれてきた歴史の重みを感じます。局員にはあらためて自分たちの仕事に誇りを持ってほしいですし、市民の皆さんには和歌山の懐かしい風景に出合ってもらえればうれしい」と話している。
午前9時から午後5時(入館は4時半)まで。23日は休館。入館無料。
問い合わせは同館(℡073・423・0003)。