国際拠点港湾「和歌山下津港」

前号では、150年以上にわたり西浜地区を高潮などから守ってきた国の指定文化財、水軒堤防の歴史を取り上げた。今週は進路を北へ進め、間もなく見えてくる和歌山港を紹介したい。
和歌山港は和歌山下津港の「和歌山本港区」に位置する。和歌山下津港は、和歌山市、海南市、有田市の広範囲に跨る港湾で、鉄鋼業や石油精製業など、多数の有力企業が臨海部に立地し、これらの企業の原材料や製品の物流拠点となっている。大きく五つの港区に分かれ、北から「和歌山北港区」「和歌山本港区」「和歌浦・海南港区」「下津港区」「有田港区」がある。
和歌山本港区は、旧和歌山港の発祥地で古くから流通網の拠点として活躍。原木、砂利、砂、セメントなどの輸入、機械や化学工業品の輸出が主となっている。2001年5月には西浜地区に4万トン級の大型コンテナ船が接岸可能な岸壁を整備。他にも、荷役効率が高い大型のガントリークレーンを備えるなど、規模を拡大。
同港は2011年4月に国際拠点港湾に名称を変更。国際拠点港湾は全国18箇所にのみ存在し、重要港湾のうち国際海上輸送網の拠点として特に重要な港として政令により指定されたもの。県内では和歌山下津港のみで、関西では堺泉北港と姫路港を含め3港。国際的な拠点としての重要度が認められている。
徳島港との海路を結ぶ南海フェリーの発着地点としてターミナルを利用した方もいるだろう。四国方面から関西への玄関口としての機能も備える。昨年には新造船が導入されるなど快適性も増している。
人と物流の玄関口として価値ある存在の和歌山港。和歌山の経済を支え続けてほしい。
(次田尚弘/和歌山市上空)