県内で50年ぶり豚熱 290頭を殺処分へ

和歌山県は26日夜、かつらぎ町の養豚農場で飼養されている豚が豚熱に感染していることが確認されたと発表した。県内で豚熱に感染した豚が確認されるのは1971年以来、50年ぶり。県は27日午前9時から、県庁で県豚熱対策本部の第1回本部会議を開き、同農場の豚約290頭を殺処分することを決定した。

県豚熱対策本部によると、24日午後5時50分に農場から県家畜保健衛生所(和歌山市)に子豚1頭の衰弱が見られるとの連絡が入り、25日に同衛生所が農場に立ち入り検査。26日に同衛生所で遺伝子検査、農研機構動物衛生研究部門(東京都)で複数の子豚の精密検査を行ったところ、いずれの検査でも陽性が確認された。

これらの豚は今月8日に豚熱ワクチンの接種を受けていた。県は豚熱の発生を防ぐため、県内の養豚農家に対して消毒の徹底や野生動物の立ち入らせないよう指導していたという。

県はワクチン接種地域となっており、移動制限や搬出制限の区域設定は行わない。同農場の豚は、28日までに殺処分の完了、30日に埋却完了、31日に防疫措置完了を予定している。豚熱について、県は人に感染することはなく、仮に感染した豚の肉を摂取しても人体に影響はないとしている。

仁坂吉伸知事は対策本部で職員に対し、「それぞれの持ち場で最善の努力をお願いしたい。発生原因をよく調べてほしい」と呼び掛けた他、豚熱について「人に感染することはない。感染した豚の肉が市場に出ることはない。県民の皆さまも安心して和歌山の豚を買っていただきたい」と強調した。会議終了後、報道陣の取材に応じ、「ちょっと危機感は持っていたが、こんなことになってしまい残念。全力を挙げ急いで殺処分する」、豚肉については「何ら恐れることはない」と述べた。

かつらぎ町の養豚場で殺処分の作業をする県職員(27日午前、県提供)

かつらぎ町の養豚場で殺処分の作業をする県職員(27日午前、県提供)