政治主導の予算編成を 財政再建は"待ったなし"

 赤字国債を発行するためには、 毎年、 特例公債法を成立させなければなりません。 道路や橋のように未来に財産として残るものは借金で賄っても説明ができますが、 単なる赤字国債で、 年金や医療の予算をつくることは孫や子どもにツケを送るだけだからです。

 本当は赤字国債を出してはいけないのですが、 やむを得ず、 毎年、 新年度の始まる前には、 国会で成立しています。 そうしないと、 予算が実行できないからです。 今年は、 与野党の対立で、 この法案が審議されず、 ようやく8月10日に衆議院財務金融委員会、 11日に本会議で可決されました。

 私は、 総理大臣を呼んでの委員会の締めくくり総括審議において質問の機会をいただき、 財政再建の重要性を強く主張しました。

 まず、 民主党は政権交代後、 ただちに 「予算編成のあり方に関する検討会」 で、 予算編成のやり方を見直しました。 ①複数年度を視野に入れた、 「予算閣僚委員会」 によるトップダウン型の予算編成②予算編成や執行プロセスの透明化・見える化③年度末の使いきりなどのムダな予算執行の排除④国民への説明責任を果たすための 「政策達成目標明示制度」 の導入といった4つの柱です。 特に、 「予算閣僚委員会」 によるトップダウンの予算編成をしなければ、 歳出のカットができないことを主張しました。 実際には、 いまだに 「予算閣僚委員会」 で実質的な議論と調整が行われていない現実があります。 来年度の予算編成では、 ぜひ、 政治主導で行うべきです。

 また、 財政責任法の必要性も訴えました。 財政責任法を最初に導入したのは、 ニュージーランドです。 1994年に導入されましたが、 それ以後、 ニュージーランドはほぼ財政黒字を維持しています。 この財政責任法の核心は、 政府自ら目標を定め、 半年ごとに実際の財政運営が目標通りにいっているかを、 政府自らが検証することにあります。 ニュージーランドは、 政府部門でも発生主義会計が導入されており、 日本のように、 会計上の操作によって、 財政赤字を調整することは難しい状況です。

 端的にいって、 日本よりはるかに財政の透明性が高いといえます。 ニュージーランドでも、 景気が悪化した際に、 借金をすることができます。 しかし、 その場合、 財務大臣は、 もともとの財政目標にどうやって戻るか、 例えば、 増税や歳出削減で戻るといったことを予め説明しないと、 景気対策はできません。 それは、 安易に将来世代に負担を転嫁することを戒めるためです。

 そして、 最も重要なことは、 総理大臣が自ら、 財政再建の必要性、 財政規律の重要性を繰り返し、 国民に説明し、 厳しい財政状況について、 徹底的に情報公開することです。

 まもなく新しい内閣ができます。 誰が総理大臣になろうと、 財政再建は待ったなしです。 年間の支払いの半分を借金で賄うような財政のやりくりが何年も続けられるはずはありません。 まずは、 無駄遣いの排除、 国会議員や公務員給与の削減や予算のカットを政治主導で行うことです。