災害への備え議論 きのくに学びフェスタ

 地域で故郷を愛する気持ちを育てようと、 本年度 「きのくに学びフェスタ」 (県教委主催) が29日、 和歌山大学地域連携・生涯学習センター、 県立図書館 (和歌山市西高松) で開かれた。 東日本大震災や台風12号の発生などを受け、 ことしは防災関連の展示物や体験コーナーなどに重点を置いた。 シンポジウム 「災害から学ぶ」 では、 防災への姿勢や被災者支援の課題などについて意見が上がった。

 シンポジウムは約100人が耳を傾けた。 照本清峰・和歌山大学防災研究教育センター特任准教授がコーディネーターを務め、 震災の被災地支援に出向いた広川町役場総務政策課主任の南良太さん、 台風で被災した新宮市本宮町で復旧作業を行った本宮公民館四村川分館館長の折戸富子さん、 東日本大震災の被災地の小学校で心のケアをした坂田真穂学校心理士がシンポジストとして参加した。

 折戸さんは台風被害を受けた際に、 携帯電話や行政防災無線などあらゆる通信手段が使えなくなったことに触れ、 「災害の大きさは想定できない。 被害直後は、 マニュアルがあっても、 どうやって役立てていいのか分からなくなる。 日常的に、 『自分の身は自分で守る』 という意識で家族などで話し合っておくことが大切」 と訴えた。

 南さんは 「避難所では水が貴重だと思い、 水分を控えて、 体調を崩すこともあった」 と被災地の状況を報告し、 支援する側の課題を示した。

 また、 近い将来の発生が懸念されている東南海・南海地震への備えとして、 坂田さんは 「災害は非日常のことであり心理状態が変わるのは自然なこと。 普段から近所の人と接するなど、 分かち合える関係をつくっておくことが大事」 と呼び掛けた。