気仙沼市に船3隻届ける 漁師の花本さんら

 和歌山市の湊水産事業協同組合代表理事の花本正明さん (53) は、 組合員や仲間らの協力を得て、 東日本大震災で被災した宮城県気仙沼市の本吉町漁協に小型船3隻を届けた。 次回は女川町に5、 6隻を届ける予定にしているといい、 花本さんは 「宮城ではこれからウニ漁が始まる。 船の到着を喜んでくれていたようで、 本当にうれしかった」 と話している。

花本さん

 花本さんは、 シラス販売店 「はなや」 =和歌山市湊=の社長を務める漁師。 震災後、 「同じ海の仲間が困っている。 支援できることはないか」 と、 使わなくなっていた船の寄贈を決めた。

 仲間の釣り船店 「遊遊クラブ」 社長の橋本保さんも2隻提供し、 ヒロ建設、 和歌山加太丸らも協力を申し出て、 組合らも寄付金を集めたという。

 今月3日午後4時に同市を出発し、 4日午前8時に宮城県に到着、 同町蔵内浜で船を下ろした。 南三陸町や石巻市などの被災状況を見て、 「これは写真で伝わるものではない。 子どもや孫の代まで伝えていかなければ」 と思ったという。 また、 道路沿いで船を直している光景が所々で見られたといい、 「軽い気持ちでは駄目だ。 海のことについてもっと何かしなくては」 と胸に突き刺さるものがあったという。

 同町ではワカメやノリ漁などが盛んで、 小型船の需要が高いという。 寄贈した船は間もなく最盛期を迎えるウニ漁にも使われるようだ。 同漁協から花本さんに、 「おかげさまで浜の復興や生活再建への第一歩を踏み出すことができます」 とお礼状が贈られた。

 花本さんは、 これを機会にボランティアグループを立ち上げ、 活動したいといい 「東日本大震災の被災地だけでなく、 困っている人を助けたい。 多くの人の千恵を借りたい」 と話している。

 ボランティアに関心のある人は、 湊水産事業協同組合 (℡073・451・2721)。