「はやぶさ」ヒントに火球の真実解明

 40年以上前の真実が今、解き明かされる! 和歌山市島崎町のアルバイト、加茂昭さん(68)が5日、昭和41年に日本で初めて撮影された人工天体物落下の火球(流星より明るいもの)写真の真実を導き出した本『空とぶマネキン人形』(星湖舎、B5サイズ、99㌻)を出版した。昨年夏に地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」の映像がきっかけとなり、落下した物体の謎が解明されていく過程をまとめた。

 加茂さんは45年前、東京の出版社に勤務。天体の月刊誌の編集をしていた頃に読者から届いた2通の手紙が全ての始まりだった。京都市に住む高校生から火球を撮影した写真、下津町(現海南市)に住む中学生からはスケッチの投稿があった(昭和41年11月30日に観測したもの)。

 本は加茂さんが2人に会って火球を見た方角や時間などの目撃情報を聞き出し、図上で何度も計算したりして火球の飛行経路を探ったレポートに始まり、専門家に人工衛星「コスモス133」と推測されるも真相は分からずじまいとなった苦労話も収録。高校生の写真と同じ動きを見せたはやぶさの映像にヒントをもらってからは、同様にコスモス133から放出されたカプセルの研究を続けた日々をつづった。

 人間の代わりに同カプセルに搭載されていたマネキンをタイトルに採用。大人だけではなく、中学生でも分かりやすいように計算式などは除き、簡単なイラストや図を掲載している。

 加茂さんは「星について何らかの現象を見たら、見たままでいいからメモを残してほしい。きっと解明できる。中高生にぜひ読んでもらいたいです」と話している。