特別委で熱心に政策論議 社保と税の一体改革攻防

 社会保障と税の一体改革問題が、 佳境に入っています。 野田総理が約束した6月15日までに三党協議は整いましたが、 民主党内の調整は難航しているようです。 そしてもう一つの約束である6月21日の会期末までに衆議院で採決されるのか、 予断を許さない状況です。

 そもそもこの問題を審議する 「社会保障と税の一体改革特別委員会」 は、 4月20日に2大臣への問責が可決され衆参の各委員会がすべてストップしているにもかかわらず、 4月26日に設置され、 自民党は大変な重量級メンバーで臨みました。

 まず理事には、 幹事長経験者で税制に詳しい伊吹筆頭理事、 前国対委員長で野田総理とは松下政経塾の同期生の逢沢次席理事が並び、 委員には党の税制責任者と社会保障責任者、 さらに関係する常任委員会すなわち厚生労働委員会、 内閣委員会、 財務金融委員会、 文教委員会、そして総務委員会の筆頭理事が揃いました。 私は総務委員会筆頭理事の立場で、 特別委員会の一員となった次第です。

 しかし一方の民主党は、 野田総理が政治生命をかけると公言されている割に、 委員のほとんどが1年生議員であり、 野田総理の言葉と実際の布陣のギャップを痛感しました。

 さて特別委員会は設置後、 本会議での質疑などを経て、5月21日から始まり6月14日までの4週間、月曜日から金曜日までほぼ毎日、 午前9時から午後5時まで時には6時や7時まで審議が行われました。

 委員会は通常、 週に2~3日審議して、 合間に質問の準備を行います。 しかし今回のような日程だと、 委員会に並行して質問準備を行わねばならず、 さらに他の用事は何もできない状況で大変な毎日でした。

 こうした全く異例の委員会運営となった背景には、 慣例的に重要法案は概ね100時間の審議という暗黙の了解と、 会期末までギリギリの日程だったことがあります。

 さらに、 与野党の思惑もあります。 民主党内には推進勢力と小沢グループに代表される反対勢力があり、 輿石幹事長には党を割らず、 解散もしないために法案の採決をせず、 会期末をもって審議未了で廃案ないしは継続審議にする思惑があり、 一方自民党にも、 重要法案だけに審議拒否と言われたくないとの思い、 また消費税増税を既に参院選で公約していること、 さらに採決に持ち込むことで民主党内の分裂を鮮明にしたいなどの思いがありました。

 この法案審議にあたっては、 年金関係2本、 子育て関係3本、 税関係2本の計7法案あることから自民党では役割分担を行い、 私は総務委員会筆頭理事の立場から地方税を担当し、 2回の質問を行いました。

 5月22日の1回目はテレビ中継も入りましたが、 地方の厳しい現状について総理の認識を質すとともに、 増税時の地方向けの経済対策や少子化対策、 さらに経済界との強力な連携を促しました。 また、 地方税制改革の先送りや、 国と地方の配分基準が曖昧であり、 さらに地方消費税の位置づけがいい加減であることなども指摘しました。

 6月14日の2回目では、 合意期限前日での野田内閣の方針や対応を岡田副総理に質すとともに、 あらためて地方消費税の位置づけや地方税の懸念事項などを確認し、 社会保障における今後の負担と給付のあり方などを質問しました。

 私の質問は非常に専門的なものでしたが、 地方の立場が少しでもよくなるようにとの観点で行いました。 他の委員のみなさんも同様に、 それぞれの専門に応じて熱心な質疑を展開しました。 報道は政局に偏りますが、 こうした熱心な政策論議が協議の背景にはありました。