低年金者対策など充実 3党合意に大きな意義

 6月26日、 社会保障と税の一体改革関連法案が、 修正の上、 衆議院を通過しました。

 私は、 衆議院に設置された 「社会保障と税一体改革特別委員会」 では、 公明党の理事として審議に臨み、 民主・自民・公明3党の修正案の提案者という役割を果たすことになりました。

 当特別委員会の審議時間は、 129時間に及び、 戦後最長であった 「日米安全保障条約等特別委員会(1960年)」 の136時間に次いで2番目に長い審議となりました。

 将来の社会保障制度のあり方に大きな影響を及ぼす重要な審議であったことを物語っています。

 公明党は、 消費税の引き上げに際しては、 ①社会保障の全体像を示す②景気回復③行政改革④消費税の使途は社会保障に限定⑤税制全体の改革で財源を生み出すという5つが前提条件であると主張してきました。
しかし、 民主と自民が修正協議入りで一致。 このままでは、 社会保障の議論が置き去りにされ、 増税だけが先行される恐れが出てきたため、 公明党も協議に参加して、 われわれの考えを主張することにしました。

 3党合意の結果、 年金や医療制度は、 「社会保障制度改革国民会議」 で議論され、 3党で協議して法案を出すこととなり、 民主党の掲げる最低保障年金の創設や後期高齢者医療制度の廃止という現行制度を揺るがす提案については、 一方的に提出することができなくなりました。

 3党合意の結果、 現行の社会保障制度は、 消費税を財源にすることでより安定化するとともに、 公明党が 「新しい福祉社会ビジョン(2010年)」 で提案していた政策が実現することで、 より充実することとなりました。

 例えば、 無年金・低年金対策として、 年金受給資格が25年から10年に短縮され、 低年金者への 「福祉的な給付」 が行われます。 「福祉的な給付」 とは、 公明党の年金への定率加算の考えを取り入れ、 保険料の納付期間に応じて給付するものです。

 子育て分野では、 制度が定着しつつある認定こども園に関する手続きや財政支援を一元化して改善するとともに、 待機児童解消のため質量ともに充実をはかることになりました。

 その他、 3党合意では、 消費税の 「逆進性」 対策として、 給付つき税額控除(当面は、 簡素な給付措置)だけでなく、 政府案にはなかった軽減税率(食料品など一部の品目の税率を低く設定する)も選択肢として検討することとなりました。

 さらに、 政府案では曖昧であった景気対策について、 公明党が提唱する 「防災・減災ニューディール」 政策の実施を求めた結果、 防災・減災対策が法案に盛り込まれることとなりました。

 ねじれ国会において 「決められない政治」 といわれる中で、 今回、 与野党が共通のテーブルに着き、 日本の社会保障の基盤づくりについて合意に至りました。 与野党の枠を超えた重要課題である社会保障について合意できたことは大きな意義があったと思います。

 近く参議院での審議が始まりますが、 修正案の提案者として、 参議院議員の皆様から質疑を受けることとなります。 一段と充実した議論にしていかなければならないと心に期しているところです。