「玉津島保存会」結成へ

 和歌山市和歌浦中の玉津島神社を中心とする 「名勝和歌の浦」 の自然・歴史・文化を守り、 その保全と活用を図りながら後世に伝えることを目指す 「玉津島保存会」 (奥津尚宏会長)が、 10月28日に発足する。 午後1時半から同神社で結成の集いが開かれ、 同会顧問の村瀬憲夫近畿大学文芸学部教授が記念講演 「神代よりしかぞ尊き玉津島山」 を行う。

 玉津島は古代、 和歌浦湾に玉のように連なった6つの島山全体を指し、 神亀元年(724)に行幸し景観に感動した聖武天皇が、 玉津島の神・明光浦の霊を祭るように命じた地。 記念講演のタイトルは、 行幸に随行した山部赤人が詠んだ長歌から取っている。

 玉津島神社は、 その玉津島の神や和歌三神の一人を祭る歴史ある神社だが、 氏子はいない。 以前は地元の篤志家らが本殿の再建やみこしの修復などを行っていた。

 そのため、 同神社をバックアップする市民グループが必要と、 和歌の浦で文化活動や清掃活動をする有志が集まり、 今回保存会を立ち上げることになった。

 同神社の遠北明彦(あちきた・はるひこ)宮司や和歌浦連合自治会の大道眸会長らが顧問を、 文化財関係者らが幹事を務め、 事務局は同神社に置く。

 初めは、 玉津島を知ってもらう講座やウオークの開催、 例祭への参加、 江戸時代のみこしの公開などを地道に進めていく予定だが、 松本敬子副会長(71)は 「夢はいっぱいあります」 と話す。

 それは、 平安時代から室町時代に行われていた丹生都比売(にうつひめ)神社(かつらぎ町)から同社への浜降ろし神事や、 同社北側の奠供山(てんぐやま)で江戸時代に行われていた 「望祀(ぼうし)の礼」 などの再現、 同社に残る天皇筆の和歌の調査など。

 松本副会長は 「玉津島の価値を磨いて、 次の世代につないでいく応援団です。 一緒にやっていきましょう」 と呼び掛け、 奥津会長(69)は 「他の団体とも協力し、 広いまちづくりを目指したい」 と話している。

 結成の集いには誰でも参加できる。 申し込み不要。 参加無料。 また会員も募集している。

 問い合わせは奥津会長(℡090・9620・7040)まで。