地域ぐるみの子育てに感激 途上国の医師ら紀美野で

 母子保健分野の現状を学び自分たちの国の妊産婦の健康改善につなげようと、 アジアやアフリカの開発途上国の医師や看護師ら13人が4日から6日までの3日間、 県内を訪問している。 5日は紀美野町で行われている子育て支援の現場を視察。 住民や学生らが参加した地域ぐるみの取り組みに感激しながら今後の参考にしていた。

 開発途上国の支援活動を行っている民間の公益団体 「ジョイセフ」 が独立行政法人国際協力機構 「JICA (ジャイカ)」 の委託を受けて実施している研修 「妊産婦の健康改善ワークショップ」 の一環。 アルメニア、 ナミビア、 フィリピン、 カンボジア、 インドネシア、 ラオス、 レソト、 スワジランドの8カ国、 20~40代の男女が学んでいる。

 2日目は紀美野町の野上第1保育所を訪れ、 1歳6カ月から保育所入所までの親子を対象にした子育て支援センターの育児教室 「コアラ教室」 を見学。 この日はスタッフの歌や体操、 海南高校大成校舎の生徒による絵本の読み聞かせと紙芝居、 町母子保健推進員の折り紙遊びが行われ、 一行は楽しくはしゃぐ子どもや安心して見守る母親らの姿に笑顔を見せながら、 地域のボランティアらが支える活動に感心していた。

 この他、 紀美野町では寺本光嘉町長を訪問し、 野上中学校で思春期保健の授業を見学。 母子保健推進員の活動報告や意見交換で研さんを深め、 アフリカ・レソトの看護師、 レラト・マイサさん (30) は子育て支援の現場について 「組織間の連携を図るのが難しい。 ですが、 ここは一つの部屋の中に行政、 教育、 地域といったいろんな分野の人がいて、 子どもが健やかに育つ環境ができている。 言葉に表せないくらい感激しています」 と話していた。

 研修は初日、 県庁で母子保健について勉強。 最終日は九度山町で母子保健推進員の活動について学ぶスケジュールとなっている。