不戦と平和へ祈り 和歌山市で空襲犠牲者の追悼法要

 太平洋戦争の空襲による犠牲者を弔う和歌山市戦災死者追悼法要が9日、同市西汀丁の汀公園戦災死者供養塔前で営まれた。主催した市戦災遺族会(吉田フミ子理事長)の会員をはじめ約250人が参列し、不戦と恒久平和への強い願いを新たにした。

 同市は太平洋戦争中に米軍による十数回の空襲を受け、約1400人が犠牲になった。特に昭和20年7月9日から10日未明の「和歌山大空襲」で市中心部は焼け野原となり、火災や熱風から避難してきた人々が集まっていた汀公園では最も多い748人が亡くなっている。

 法要で吉田理事長(84)は「戦火の中を必死で逃げまどう人々、最愛の肉親を失い耐え難い悲しみにくれる方々、あの恐怖と苦痛の惨状は私の記憶から消えることはない。命の重さ、平和の尊さを訴え続けなければならない」と追悼の言葉を述べた。

 市立八幡台小、野崎西小、伏虎中、和歌山大学付属中の4校の児童生徒から平和への祈りを込めて折った千羽鶴の奉納があり、参列者は市仏教会の僧侶による読経の中、焼香し、戦災死者の霊に鎮魂の祈りをささげた。

 戦争の学習に取り組んできた同大付属小6年生は「平和への願い」を発表。代表の中村梨乃さん(11)、川邉くららさん(11)、地當海琴さん(12)、前舞さん(12)の4人は「人の夢や命を奪う戦争は二度と起こってほしくない」「私たちは戦争を経験していないが、決して忘れず、次の世代に伝えなければいけない」などと話した。

 


追悼の言葉を述べる吉田理事長