県内各地に爪痕 台風18号

 台風18号は15~16日に日本列島の広範囲に暴風雨をもたらし、初めて大雨特別警報が発令された京都、滋賀、福井各府県などで洪水や土砂災害による大きな被害が出た。県内でも累積雨量が新宮市で600㍉を超えるなど猛烈な雨が降り、串本町では竜巻と見られる突風で3人が軽傷、建物など245件が被害を受け、岩出市や海南市などで民家の浸水、全域で交通機関の乱れや道路の通行止めなどが相次いだ。

 【和歌山市の被害】

 県や和歌山市によると、同市内の被害状況は、モンティグレ(ダイワロイネットホテル和歌山)周辺でタクシーの女性客(53)がトランクに荷物を積み込む際、風にあおられたトランクが頭部に当たり軽傷。川永地区の民家1世帯で、庭に溜まった雨水が床下に浸水した。湊連絡所と加太支所には一時、計2世帯4人が自主避難した。

 市内の道路は、伊太祁曽神社前の県道和歌山野上線で和田川に面した路肩が崩れ、通行止め。国道26号の孝子峠や紀の川に架かる河西橋、加太の淡嶋神社前の市道などは安全のため一時通行止めとなり、内原や直川で道路冠水による一時通行止め、加太で落石も報告されている。

 また、市内各地で収穫前の水田が冠水するなど、農業関係の被害も心配される。紀の川河口では、上流から運ばれてきた大量の流木やごみが見られた。

 流通にも影響が出ており、市内のコンビニエンスストアでは、台風の被害が大きい京都方面からの商品の搬入が遅れ、空になったおにぎりの商品棚にお詫びの貼り紙がされるなどの光景も見られた。

 【各地で民家浸水】

 県内の浸水被害は床上49件、床下137件に上り、本紙エリアでは海南市11件(うち床上1)、岩出市29件(同4)、紀美野町4件(同3)だった。海南市の367世帯、紀美野町の5世帯、紀の川市の140世帯には一時、避難勧告が出された。

 【交通機関に乱れ】

 JRは、きのくに線が15日に11本を運休、40本に最大3時間5分の遅れが発生し、約7000人の足に影響。16日は70本の運休で約6500人に影響が出た。和歌山線は16日、和歌山―五條間で49本が運休し、約1600人に影響した。

 南海電鉄は、極楽橋―高野山間のケーブルカーで一時運転を見合わせ、本線、加太線、高野線で徐行運転を行うなど、運休117本、遅延294本で約5万人に影響が出た。

 和歌山―徳島間の南海フェリーは、15日が上下9便、16日が8便を欠航。空の便では、南紀白浜空港を発着する16日の3便を欠航した。