高野口小 昭和初期の木造校舎、国重文に

 国の文化審議会(宮田亮平会長)は18日、全国で9件の建造物を重要文化財に指定するよう文部科学大臣に答申した。県内からは、橋本市高野口町名倉の「旧高野口尋常高等小学校校舎」が指定される見通しとなった。昭和初期の木造校舎で規模が大きいのが特徴。現在は、高野口小学校の校舎として使われており、現役の小学校校舎が指定されるのは、愛媛県の日土小学校に次いで2件目という。

 県内の重要文化財(建造物)の指定は、平成22年6月の旧西村家住宅(新宮市)と琴ノ浦温山荘(海南市)以来3年ぶり。これにより、県内の重要文化財の建造物は79件になる。

 同校は明治8年に「村学」と称して開設された。明治44年に高野口尋常高等小学校と改称し、昭和12年に校地を移して新しく建設されたのが現校舎となる。22年に高野口小学校と改称し、平成16年に高野口町指定文化財、18年3月の同町と橋本市合併以降は橋本市指定文化財となった。

 県文化遺産課によると、校舎は木造平屋建て、桟(さん)瓦ぶきで、建築面積は3500平方㍍を超える大規模な建物。柱は太く、筋交いや方杖(ほうづえ)を多用するなど、耐震や耐風への工夫が見られ、しっかりとした造り。関東大震災や第1室戸台風などを経て発展改良され、当時最新の構造手法が取り入れられている。

 設計者は同校の卒業生、故藪本芳一氏(明治41年~平成4年)とされ、構造に工夫を凝らした特徴ある校舎として歴史的価値が高いという。改修工事を経て、現在も現役の校舎として使われていることも評価された。

 高野口小学校では現在267人の児童が学んでいる。同校の井澤清校長(58)は「地域のシンボル的な建物なので、大変喜ばしい。子どもたちは実感が薄いかもしれませんが、受け継いできたものや、自分たちが残していくことを伝えたい。先輩の思いを受け継ぎつつ、今まで通り大切にしていきたいですね」と話していた。