裏千家・千玄室さん講演 経済同友会
和歌山経済同友会の本年度通常総会が20日、和歌山市のホテルグランヴィア和歌山で開かれ、茶道の裏千家第15代・前家元の千玄室さん(91)が「未来への心」と題して記念講演した。県出身の経営者、松下幸之助の生き方などを通して、人の心のあり方や「礼」の大切さなどを語った。
千さんは、徳川幕府8代将軍・吉宗と千家とのつながりなどを挙げ、茶道と和歌山の関係が古くから続いていることを紹介した。
松下幸之助については、最高の教養をつくり上げようと茶道を学んでいたことなどを紹介し、「礼に始まって礼に終わる。これは日本人にとって一番大事なこと。皆さまの信念の上に松下さんをかざし、人に対する自分の商いを考えていただければ、仕事が活気を呈していくと思います」と話した。
また、人間は地球に住まわせてもらっていることに感謝し、自然界を認識することが重要だが、それを忘れがちになっていると指摘。古代中国の思想「陰陽五行説」を通して、「人間として身に付けるべきことを知ることが、自然界と一体になることの大切さを知ることである」と話した。
さらに、茶道はどんな人種でも差別なく、みんなが勧め合っていただくところに平和があると語った上で、「経済同友会の皆さまが手を差し伸べれば、一つの小さなことでも大きな力になる。組織によって経済を盛り上げていかなければならない」と力を込めた。