【AR】初観音で息災祈る 紀三井寺の転読法会
和歌山市の紀三井寺(前田孝道貫主)は18日、ことし最初の観世音菩薩の縁日「初観音」を迎えた。本堂では僧侶12人による「大般若経転読法会(だいはんにゃきょうてんどくほうえ)」が行われ、参拝者ら約300人が無事息災を願い集まった。
大般若経は全600巻にもなる経典。孫悟空で知られる「西遊記」にも登場する三蔵法師がインドから運び、訳した。人の苦しみを救う知恵が詰まった「人生の教科書」などといわれている。
この日、阪神淡路大震災の犠牲者に黙とうをささげた後、転読法会が行われた。僧侶らが次々と頭上まで経巻を掲げ、「だ~い、はんにゃきょう…ぶじょうや~く!」などと声を上げながら、経巻を繰り落としていった。その後、参拝者ら一人ひとりの肩に経巻をあて、無事息災を祈念する「お加持(おかじ)」が行われた。
訪れた黒田七生さん(69)は「ことし一年、どうか無事で過ごせることを願います。すがすがしい気持ちになりました」とにっこり。前田貫主は「皆さまとお経を唱えさせていただき、こんな幸せなことはありません。どうか健康で長生きし、喜びある人生を」と参拝者に声を掛けた。
また、平成元年から25年間、初観音の際、参拝者にミカンを奉仕してきた、同寺観音講の瀧谷晴枝さん(88)に、前田貫主から感謝状が贈られた。