和歌浦の文化財「不老橋」の欄干崩れる
和歌山市の指定文化財で、国指定の名勝「和歌の浦」の一部にもなっている和歌浦南の不老橋が老朽化の影響で一部が崩壊し、管理する市などは修復を進めている。
市文化振興課によると、10月4日夜に警察から市に連絡があり、同日に同課の文化財担当者が現場で確認した。倒れたのは大通り側、橋の北詰め約1・7㍍の勾欄(こうらん)=欄干=部分。観光客が付近で記念撮影していた際に、内側にずれて倒れたようだという。けが人はなかった。
不老橋は紀州徳川家10代藩主治宝(はるとみ)の命により、嘉永3年(1850)に着手し、翌嘉永4年(1851)に完成したアーチ型の石橋。
平成7年に市の文化財指定を受け、20年に県指定の名勝・史跡「和歌の浦」の構成要素の一つとなり、22年には国指定の名勝「和歌の浦」の一部になっている。
同課では県や国と協議の上で修復を進める。今回倒れた部分は、地震や台風による被害を受け、これまでにも何度か補修がされてきた。橋は他にもずれが確認される箇所があることから、今後は専門的な調査も検討しているという。
同課では「国名勝『和歌の浦』のシンボルともいえる橋。できる限りきちんとした状態で、以前に近い姿に戻したい」とし、和歌浦の三断橋(さんだんきょう)の修復にも関わった和歌山大学の藤本清二郎名誉教授は「地盤沈下の可能性もある。橋はずいぶん傷みが生じているので、今後本格的な修復が必要になるのではないか」と話している。