考古学から地震考える 風土記の丘特別展

 考古学の視点から南海地震について考える秋期特別展「紀伊の地、大いに震う」が29日まで、和歌山市岩橋の県立紀伊風土記の丘で開かれている。

 今回の展示は、過去に発生した巨大地震の痕跡が刻まれた遺跡や発掘品の紹介などを通して、これまで繰り返し発生してきた南海地震の災害史をたどり、人々がどのように地震と向き合ってきたかについて紹介している。

 展示品の一つ、宮城県仙台市の沓形(くつかた)遺跡の津波痕跡は、弥生時代(約2000年前)の水田跡からはぎ取った土の層の一部にだけ白い砂の層があり、大規模な津波によって運ばれたことが分かる。

 奈良県天理市の赤土山古墳(4世紀後半)には、南海地震によると見られる地滑りで崩れ落ちた跡があり、今展では、滑り落ちた状態で発掘された埴輪(はにわ)列の模型が展示されている。

 来場した山田勝晴さん(77)は「言葉だけでは、なかなか伝わらないが、目で見る資料があり、地震を感じることができた」と話していた。

 同施設学芸員の瀬谷今日子さん(36)は「展示を見ることを通して防災に取り組むきっかけになれば」と話し、来場を呼び掛けている。

 29日午後1時半から3時半まで、兵庫県立考古博物館の山本誠さんを講師に迎えたセミナー「2つの大震災と遺跡の調査―阪神・淡路大震災と東日本大震災を経験して―」が開かれる。定員30人。事前申し込みが必要。

 開館時間は午前9時から午後4時半まで。月曜休館(祝日開館)。

 申し込み、問い合わせは同施設(℡073・471・6123)へ。

沓形遺跡の地層を見学する来場者

沓形遺跡の地層を見学する来場者