太地の古式捕鯨と世界情勢 専門家が講演
国内外で、太地町のイルカ・クジラ漁に関する議論が起こる中、県は捕鯨文化の価値や漁の正当性を積極的に発信しようと25日、和歌山市の県民文化会館で特別講演会「太地町における古式捕鯨と世界情勢」を開催。研究者や新聞記者が、太地町が誇る捕鯨文化や、反捕鯨団体の実態について話した。
外務省と水産庁、太地町後援。
太地町歴史資料室学芸員で、米国ニューベッドフォード捕鯨博物館の顧問学芸員でもある櫻井敬人さんはクジラの種類や古式捕鯨の歴史を紹介した。
捕鯨船に華美な装飾が施されていた理由について「江戸時代の人々は供養の問題で、クジラ捕りに葛藤を抱えていた。太地は那智山を中心とする宗教の一部で、クジラの成仏を願ってのことではないか」と話した。
また、反捕鯨団体「シー・シェパード」に関する著書がある産経新聞記者の佐々木正明さんが、「捕鯨を巡る世界情勢」と題し、シーシェパードの組織の実態や、妨害行為の詳細を語った。
エコテロリストとも呼ばれる団体の活動が過激化する背景には、環境保護や生態系保護の意識の高まりが背景にあるとし、厳格に対応することや正しい情報を発信することの重要性を強調。「対策をとらないと何かが起こる。日本だけでなく、いま世界が問われている」と呼び掛けた。