県内1万人が実践 シニアエクササイズ

和歌山大学の本山貢教授が県と共同開発し、各自治体が実践と普及を進めている高齢者向け筋力向上トレーニング「わかやまシニアエクササイズ」に取り組む自主グループが増えている。地域で指導するボランティアの養成講座はことし10年目を迎え、和歌山市で約50カ所約2000人、県内で300カ所、1万人近くが実践。本山教授は「介護給付費が大きく膨らみ個人の負担が増える中、まちを救うのはこういった地域の人たち」と話している。

わかやまシニアエクササイズは、ステップ運動やいすを使っての筋トレなど簡単な動作やウオーキングを組み合わせ、筋力の衰えを防ぐプログラム。体力の維持・向上に加え、継続することで要介護認定率を抑制できることが分かっており、認知症予防にも良いとされている。

自主グループは、各地域の公民館やコミュニティセンターなどで住民を対象にした教室を開き、積極的に筋トレに取り組んでいる。養成講座の受講生はおおむね60歳以上。地域に貢献したいという気持ちから参加する人が多いという。

高齢者が増える中で、介護予防に努め、給付費抑制を図る必要があり、本山教授は「介護保険制度が変わっても駄目。人が変わらないと」と指摘する。

先日、グループ間で情報交換し、つながりを深めようと、同市の自主グループが一堂に会するイベントがあった。

集まった約230人の参加者は本山教授指導のもと、脳を活性化させる体操などをした後、片男波海水浴場や和歌浦漁港などを巡る海コース、高津子山などを歩く山のコースに分かれて爽やかな汗を流した。

講座の7期生で、和歌浦地区で活動する津田久美子さん(70)は「活動で良いことの一番は仲間づくり。コミュニケーションを取りながら、地域に何でも言える雰囲気をつくっていきたいですね」と笑顔で話し、本山教授は「地域ですることに意味がある。指導者は地域に溶け込んでいる人たち。自分の住んでいる身近な場所で運動に取り組みながら、自主的な地域づくりを進めてもらえれば」と話している。

本山教授(左から4人目)とウオーキングを楽しむ参加者

本山教授(左から4人目)とウオーキングを楽しむ参加者