和歌山から悠久の大地へ ブラジルで箏のワークショップ

11月10日(現地時間)、和歌山市出身の箏曲家・西陽子さんがブラジルで箏のワークショップを開催した。世界中に箏の魅力を発信しようと活躍されている西陽子さんにその思いを聞きました。 (次田尚弘)

和歌山を拠点に活動している私が、日本から最も遠い国・ブラジルを訪れるようになって、今回で7回目。箏曲家として日本の伝統文化を伝えるため、2009年からほぼ毎年訪れています。

11月のブラジル訪問で訪れたのは、首都ブラジリア郊外の町・タグアチンガ。そこは、街中で日本語が聞こえてくるサンパウロと違い、ほとんど日系人がいない地域です。そんなタグアチンガの学校で日本語を学ぶ子どもたちがいると聞いて、箏に触れるワークショップを学校で開くことにしました。

子どもたちが遠い日本に関心を持ってくれているって、とてもうれしいことです。「少しでも子どもたちに、日本の音色を届けたい。日本の文化をじかに体験してほしい」という思いを胸に、ワークショップをスタートさせました。

「さくらさくら」に始まり、箏曲古典「六段」ではにぎやかな子どもたちも別人のように静かに日本の音を味わってくれました。その後、子どもたちに実際に箏に触れ演奏してもらいました。

弦の強さに驚く子もいれば、ラテン楽器とは違う重厚な響きに目を丸くする子も。会場いっぱいに集まった子どもたち、みんな笑顔で興味津々。最後は箏の演奏に合わせ、日本の歌を歌って終わりました。

音楽は万国共通語です。和歌山とは文化も歴史も違うけれど、ブラジルの大地に奏でられた箏の音色は、遠く日本を思うブラジルの子どもたちの心に、確かに響きました。子どもたちにとって、この経験がいつか、日本とブラジルの懸け橋になることを願ってやみません。    (西陽子/ブラジル)

ブラジルの子どもたちに囲まれて

ブラジルの子どもたちに囲まれて