海の小さな営みにふれる すさみ町立エビとカニの水族館
前号より、南紀田辺インターチェンジ(IC)と、すさみ南ICを結ぶ紀勢自動車道について取り上げている。今週は、すさみ南ICの程近くにある、「すさみ町立エビとカニの水族館」を紹介したい。
エビとカニの水族館は9月13日、紀勢自動車道開通にあわせ、すさみ町江住の地域振興交流施設「道の駅すさみ」と同敷地内にリニューアルオープンした。同施設は旧江住中学校の跡地にあり、水族館は体育館を改装したもの。かつての学びやが水族館として親しまれている。
特徴は、名前の通り、エビやカニなどの甲殻類を中心に、主に紀伊半島に生息する150種類以上を展示していること。一般的に水族館といえば魚が泳ぐ大水槽を想像するが、同館では小さな水槽の中の甲殻類を間近で見ることができる。
各水槽に添えられた研究員の方々からの説明書きも魅力のひとつ。目前の大海原で日々行われている、エビやカニたちの静かな営みが、まるで人のように描かれ、親近感が湧くとともに、自分が知らなかった世界に気付かされる。
筆者の目がくぎ付けになったのが「カブトガニ」の水槽。魚やイルカショーをメーンにした水族館では展示物の一つとしてじっくりと観察する機会は少なかったが、ここでは全ての水槽の生物が主人公。仰向けになってしまい、なかなか起き上がれないカブトガニを偶然かもしれないが仲間たちが甲羅を使って助け合う姿に見入ってしまった。
この時期、同館では「エビー・カニスマス」と題したクリスマス仕様の展示を実施。研究員の平井厚志さんは「お正月には申(さる)年にちなんだ展示をします。色々なエビとカニの魅力にふれてください」と呼び掛けている。
年中無休で年末年始も営業。この冬、海の底の小さな営みにふれてみては。
(次田尚弘/すさみ町)