子どもシェルター創作劇 24日桐蔭演劇部

 虐待などで安心して生活できる場所のない子どもが一時避難する「子どもシェルター」について理解を深めてもらうシンポジウム「子どもたちのSOS―今私たち大人にできること」(24日、県民文化会館)に向け、県立桐蔭高校の演劇部が、シンポジウム内で発表する創作劇の練習に励んでいる。同部がシェルターを題材にした劇を披露するのは2度目で「同世代の自分たちが演じることで、関心を持ってもらう機会になれば」と練習にも熱が入る。

 子どもシェルターは、おおむね15歳から20歳未満の少女を一時的に保護する施設で、全国には13カ所ある。和歌山では、弁護士らでつくるNPO法人「子どもセンターるーも」が、和歌山市に平成25年10月に開設。これまで24人を受け入れてきた。

 子どもたちは最長2カ月という期間の中で、周囲のスタッフとの関係を築き、少しずつ本来の生活を取り戻していくという。中川利彦理事長(59)は「親の愛情を受けずに育ってきた子も、自分が大事な存在であることを認識し『るーもは第2の自分の家』と言ってくれる子もいる。一定の重要な役割は果たせていると認識している」と話し、今回の劇にも期待を寄せる。

 同部が劇を演じるのは、開所記念シンポジウム以来。上演作は「seven-day prologue」。施設で生活する少女が、そこで出会った一人の少女やスタッフ、弁護士との交流を通じて成長していく姿を描く。

 生徒たちはシェルターの役割などについて、弁護士に聞き取りし、準備を進めてきた。脚本を書いた2年生の垣睦さんは「成長できる子がいる一方で、自分の進む道を決められない子がいることも考えながら書いた。守るための施設があるだけでは虐待という問題の解決にはならず、社会全体や一人ひとりに考えてもらいたい」、演出を担当した1年生の岡本詩乃(うたの)さんは「施設で過ごす子と同年代の私たちなりに考えて舞台をつくりました。劇を通じて、あまり知られていない、子どもシェルターの現状を伝えられたら」と話している。

 2部制で、パネルディスカッション「子どもシェルターの取り組みとこれから」もある。

 午後1時から。無料。参加申し込み不要。問い合わせは、るーも事務局(℡073・425・6060)。

練習に励む部員たち

練習に励む部員たち