市民の手で森を元気に 加太で森づくり体験
間伐体験などを通し、自然を学びながら市民の手で森づくりを進める「みんなでつくる市民の森」が2月28日、和歌山市深山の市森林公園で行われ、親子ら約150人が参加。木々が密集し暗い印象だった森林が、間伐、枝打ちによって見違えるほど明るく光が差し込むようになった。
約10年前からアジサイの植樹をはじめとした森林整備活動を進める加太観光協会と、森林保護を進める一般社団法人グリーンバナー推進協会が、より多くの市民の手で森づくりを進めようと初めて企画した。
両者によると、森は木が密集し過ぎると地面に光が届かず、暗い森になってしまう。土に栄養が行き届かず木が弱り、洪水や土砂崩れの原因にもなり、豊かな生態系の森を取り戻すには、間伐や除伐、枝打ちなど手入れをし、日当たりを良くすることが必要という。
この日、県森林組合連合会の谷関俊男代表理事が「最近の森は人の手が入らなくなり、真っ暗になってしまった。太陽の光が通る森は健康な森」などと森の現状を伝え、間伐の重要性を説明。参加した親子らは、木々の密度を考慮し、間伐の印が付けられた木に対し、ノコギリなどを手に協力しながら間伐していった。
この他、尾花正啓市長が公園内で取れた種で育てたヤマザクラの苗を植樹し、地元の国会議員、地方議員らも活動に参加。市の許可のもと、小型無人飛行機「ドローン」による活動の撮影も行い、森を歩きながらの自然観察会もあった。
家族4人で参加した宮小学校3年生の福島ひかるさん(9)は「ちょっと疲れたけど、木を切って楽しかった」とにっこり。父親で同市津秦の公務員、福島謙二さん(47)は「なかなかできない体験。枯れている木も多く、手入れは重要だなと感じました」と話していた。
グリーンバナー推進協会の溝上嘉章理事(53)は「市唯一の市有林を、市民の手で守っていくための第一歩。森が良くなれば水が良くなり、農産物や海産物も豊かになる。大勢の人に、地元の森という認識を持ってもらえれば」と願い、加太観光協会青年部長の稲野雅則さん(42)は「見通しが悪かったが、ずいぶんすっきりと明るくなった。自分たちの手で森づくりをしたいという志のある人が増えるとうれしい」と話していた。