炭入りどら焼き ドバイの実業家が注目
中東の青年実業家が和歌山の菓子に熱視線――。岩出市中島の㈲セレネ(岡本泰宏代表取締役)が企画、販売する紀州備長炭を使ったどら焼き「どら炭(たん)」に、ドバイのモハメッド・イクバル・アルユスフさん(27)が注目し、製造現場を見学するため18日、同社が製造を委託している和歌山市東紺屋町の㈱きたかわ商店(内藤和起代表取締役)を訪れた。
モハメッドさんは、ヤマハ発動機の代理店などを運営する会社の副社長を務め、昨年5月からはドバイでカフェ事業を展開しており、日本の菓子を取り扱うことを検討中。日本製品の海外販路開拓などを支援している関西・食・輸出推進事業協同組合などを通じて「どら炭」を試食する機会があり、どら焼きが日本で広く親しまれている菓子であることに着目した。
「どら炭」は、紀州備長炭の粉末を使用した食品やグッズの企画・製造・販売を手掛けるセレネの人気商品の一つ。どら焼きの皮の部分に紀州備長炭の粉末を使用している。
きたかわ商店を訪れたモハメッドさんは、製造工程をじっくりと見学した。ドバイで取り扱う際には、酒や豚肉に由来する食品が含まれず、イスラム法上で食べることが許されている食品であることを示す「ハラール」の認証が必要となることから、モハメッドさんは、皮を焼く鉄板に塗る油が動物性由来のものではないことなどを熱心に質問。英語通訳として同行した貿易アドバイザーの濱口徹さんを介して、同商店の内藤仁宏常務取締役から説明を受けていた。
モハメッドさんは「どら炭」を焼く作業も体験。生地を鉄板に丸く垂らし、表面に気泡が出てきたところをヘラで返すなどの作業を終え、完成品を試食したモハメッドさんは「ドバイの菓子ほど甘みが強すぎず程よい。丸い形がヨーロッパの菓子に似ているので、受け入れられやすいと思う」と好印象を話した。内藤常務取締役は「ドバイにも実演販売に出向きますよ」と意欲を見せていた。