視覚障害者の就労支援 あんま処オープン

 視覚障害者の働く機会を拡大しようと、NPO法人「虹心の会」(堀照子理事長)は28日、和歌山市のみその商店街内に、就労継続支援A型事業所「あんま処『みその』」を開設する。格安マッサージの増加やサービスの多様化などで競争が激化する中、国家試験に合格した鍼灸マッサージ師の施術を気軽に利用できる場をつくるとともに、マッサージ師が経験を積むことで、独立を後押しする。

 視覚障害者を支援している同NPOは平成26年1月、鍼灸マッサージ師の養成を兼ねたあん摩マッサージ施設「ベストワーク」(同市手平)をオープン。現在、全国から来た21歳から60歳の13人の視覚障害者が住み込みなどで働き、報酬を得ながら技術向上に励んでいる。

 あん摩マッサージの技術は、同施設入所後、早くても3カ月の基礎知識習得が必要で、その後に実際の利用者の施術を行う。一人前になるには、2~3年の経験を積まなくてはならないという。

 全国から鍼灸マッサージ師を目指す新人がベストワークに入所し、従来の場所だけでは十分な指導、訓練が難しくなったため、あんま処「みその」をオープン。JR和歌山駅近くの好立地を生かし、ワンコインの低料金でより多くの利用者確保を目指し、所属のマッサージ師3人ほどが交代で担当する予定。料金は1回15分500円。1回のみ同じ料金で延長できる。

 共に視覚障害者で、マッサージ師歴10年以上の田中毅彦さん(36)は「新しい店舗で、若い世代にも利用してもらえることを願っています」、昨年8月に採用された佐藤弘幸さん(43)は「和歌山に来て初めての店舗での施術になるので頑張りたい」と意気込んでいた。

あんま処「みその」の前で田中さん㊨と佐藤さん

あんま処「みその」の前で田中さん㊨と佐藤さん