館蔵・寄託の「宝物」50点公開 県立博物館

 県立博物館(和歌山市吹上)の館蔵・寄託品から名品を紹介する特別展「わたしたちのたからもの」が6月5日まで同館で開かれている。国や県指定の文化財など、絵画や書、工芸品など37件50点を展示。同館の竹中康彦学芸課長は「ごく一部ですが、普段公開されることの少ない地元の『宝物』に、あらためて注目してもらえれば」と話している。

 同館には購入したり、寄贈されたりした館蔵品は約1050件、個人や社寺から預かった寄託品は約2600件ある。

 4月30日に行われた展示解説には、約20人が参加。竹中学芸課長が、現在のかつらぎ町西部にあった荘園を描いた「紀伊国桛田荘(かせだのしょう)絵図」について、境界や開発をめぐる争いがあり、書き直されるなどして現在まで伝わっていることを紹介した。

 8代将軍吉宗が将軍就任後、須佐神社(有田市)に奉納した太刀については、紀州徳川家初代藩主・頼宣(よりのぶ)没後50年、2代光貞(みつさだ)の17回忌の享保6年(1721)に奉納されたことを話した。

 この他、紀州の文人画家・桑山玉洲や野呂介石が那智の滝を描いた掛け軸や、10代藩主の治宝(はるとみ)が西浜御殿で焼かせた偕楽園焼の香合なども並ぶ。

 参加した同市の女性は「太刀が造られてから奉納されるまで、ずいぶんと時代を経ていることに時の重なりやロマンを感じました。大事に受け継がれてきたものが、とても身近に感じます」と見入っていた。

 ミュージアムトーク(展示解説)は8日、14日、22日、28日の午後1時半から。問い合わせは同館(℡073・436・8684)。

重要文化財の荘園絵図も公開

重要文化財の荘園絵図も公開