候補者名の浸透が鍵 参院選比例区の戦い

 22日に公示された参院選。和歌山選挙区では三つどもえの選挙戦が熱を帯びる一方、比例代表の候補者は全国区という大きな舞台で、見えない敵と戦っているような様相だ。届け出の手続きも、県選挙管理委員会で済ませる和歌山選挙区と違い、地盤が地方にある候補でも東京で行うなど苦労が絶えない。

 ある比例代表候補の陣営では公示日、東京で立候補の届け出を済ませ、所属政党の本部で「7つ道具」を受け取り、7万枚のポスターと法定ビラ25万枚に貼る証紙を輸送。選挙事務所に到着してから、総勢150人が約6時間、夜9時までかかって証紙貼りを終えたという。

 比例代表は、公営の候補者掲示板の設置がないため、ポスターはまちなかの各所に貼っていくなど、人海戦術が必要になる。選挙事務所では、支持者らが自主的にポスターの束を手に取り、まちなかに繰り出していく姿が見られた。

 参院選の比例代表は、政党が届け出た名簿順に当選が決まる衆院選の「拘束名簿式」(政党名で投票)と異なり、各党が獲得した議席数の中で、個人名による得票が多い候補者から順に当選する「非拘束名簿式」(政党名または個人名で投票)。議席数は、政党名と個人名の総得票数により分配される。たとえ政党名の得票が多くても、当選の枠数以外には、立候補者に有利に働かない仕組みだ。

 陣営は「比例代表の仕組みを分かっていない有権者も多く、街宣活動で、地道に名前を記入してもらうように訴え続けるしかない」と焦りを募らせる。

 今後、選挙区と同じく、候補者の名前をどれだけ浸透させることができるかが、当選への鍵となる。

法定ビラの準備などに追われる陣営

法定ビラの準備などに追われる陣営