統計局の一部を県内移転へ 県は独自プラン
政府は2日、地方創生の一環で検討を進めてきた国の機関の地方移転について、総務省統計局の業務の一部を県に移す方針を発表した。統計作成などの中核事務は東京に残し、民間や自治体にデータを活用してもらう二次利用に関わる業務の拠点を和歌山市内に設置予定。平成30年度に業務を始める。決定を受け、仁坂吉伸知事は同日の会見で、地域経済への効果について「将来においての潜在性は計り知れない」と歓迎した。
現時点では、移動人員の規模や設置場所は未定。
統計局はことし5月から7月にかけて、県内で統計データ利活用の実証実験を実施。県も統計局と協力し、シンポジウムや研修会を開くなどし、積極的な誘致を図ってきた。
移転決定を受け、県は日本のデータ活用の拠点を目指し、独自の取り組み方針や施策をまとめた「県データ利活用推進プラン」を策定。仁坂知事が発表した。
プランによると、県は統計データを研究機関などに提供する県データ利活用推進センター(仮称)を市内に設置。研究者を2人程度雇用し、統計局や統計センターと連携し、県職員と行政課題に関する研究や、民間企業などに対する調査・研究コンサルティングなどの業務を行う。平成30年4月の開設を目指している。
具体的な取り組みとしては、高校生や大学生らを対象にした「データ利活用コンペ」、企業を対象にした「データ利活用公募型研究事業」研究成果発表などを開く。
ビッグデータを可視化して提示するシステム・RESAS(リーサス=地域経済分析システム)を利活用し、データ分析で企業の販路開拓や新技術の開発など、効果的な支援を提案する他、企業経営者向けのセミナーを開催する。
その他、統計大会の毎年開催、統計出前授業の実施などで県民の統計知識の向上を図ることなどが盛り込まれている。
和歌山大学では、データ利活用を推進する人材の教育を企画・運営する部門の新設に向けた検討も進められ、連携を図っていくという。
決定を受け、仁坂知事は「統計の利活用推進業務は時代の最先端部門。その中核が和歌山で活動してくれるというのは、これほどうれしいことはない。大いに協力し、県のレベルを上げていきたい」と述べた。
また、今回の誘致の決め手については「(実証実験を含め)県としても最大限に努力・協力したので、その熱意を評価してもらえたのではないか」とした。