ネイルで健診率向上へ ろう学校生が一役
海南市の特定健康診査の受診率向上に、県立和歌山ろう学校(和歌山市砂山南)の生徒が一役買っている。理容実習でネイルアートを学ぶ生徒2人が3日、海南市日方の海南保健福祉センターで開かれた特定健診の会場にブースを設置し、来場者にネイルアートを施した。企画した同市健康課の平岩裕香さんは「参加された皆さんからたくさん喜びの声をいただきました。手話でコミュニケーションをとるなど和やかな雰囲気でしたね」と笑顔で話す。
特定健診は国民健康保険加入者(40~74歳)を対象に各地で実施されている。40代を中心に若い段階から受診してもらおうと、同課が取り組みを考える中で、同市岡田の就労継続支援A型「莢(さやか)」共同作業所の管理者で、同校で外部講師としてネイルアートを指導する尾嵜巳名子さんに、ネイルブースの開設を相談した。
「生徒たちが実践できる機会をつくりたい」と、尾嵜さんは生徒と一緒に開設することを決めた。同校の島田健司校長は「学校外の人とふれあうことも少なく、大変貴重な時間をいただきました」と感謝を話す。
尾嵜さんと共にブースを開いたのは、2年の北野凌悟君(16)と宮本麻莉乃さん(17)。特定健診受診者の爪を整えた後、ジェルネイルを施していった。時折、手話で「ありがとう」「頑張って」と生徒に伝える参加者の姿も。北野君は「爪からはみ出したり、うまくできなかった部分もあるけれど、喜んでもらえたようでうれしかった」、宮本さんは「学校以外で人にネイルをする機会はなかったので、良い経験になりました。もっと練習したい」と笑顔を見せた。
ネイルブースを終え、尾嵜さんは「生徒の顔はいつになく慎重でしたね」と目を細めた。「ネイルをした後、笑顔で帰ってもらえたら、生徒に達成感や喜びを感じてもらえると思い、学校にネイルブースの相談をしました。きょうの体験で生徒たちにもっと自信をもってもらいたい。将来の可能性、まだまだ飛躍できるということを伝えたいですね」と話していた。
同課の保健師、廣恭香さんは「初めての取り組みでしたが、参加者に喜んでもらい大変ありがたいことでした」と話し、今後の特定健診でも生徒によるネイルブースを開設する予定としている。