ヤクザから牧師に 鈴木さん人生を語る

 暴力団組織に一度加入しながらも、その後に牧師になった鈴木啓之さん(60)が、和歌山市伝法橋南ノ丁の市民会館で開かれた「暴力追放県民・市民大会」で講演し、諦めないことの大切さなどを訴えた。

 県、市や県警などが主催。会場には約700人が詰め掛けた。

 鈴木さんは、17歳の時に大阪の高校を中退。一緒に中退した生徒の親が博徒の親分だったことをきっかけに、ヤクザの道に足を踏み入れた。17年間、暴力団組織に所属したが辞めたいと思い、妻や子どもを置いて東京に逃げ隠れた。自暴自棄になりながらも、偶然にたどり着いたのが教会だった。その後は、聖書の教えを学び自身の価値観が変わると、再びの暴力団組織への誘いなども断ることができたという。

 現在では、過去に自身が経験した少年院や刑務所で、精神的救済を目的とする教誨師(きょうかいし)としても活動している。鈴木さんは、「矯正施設では『先生どうしたら堅気として生きられますか』と訴えられる。皆、本当は心は弱い。自分を変えるには、よほどの覚悟が必要だが、絶対に諦めないでほしい」と訴えた。

 この日はその他、県警音楽隊の演奏や、暴力追放功労者表彰、優良企業顕彰などがあり、「暴力団を『利用しない』『恐れない』『金を出さない』『交際しない』」の暴力追放3ない運動プラス1宣言が採択された。

講演する鈴木さん

講演する鈴木さん