母校に彩りの花を 細畠さん雄湊小に寄贈
「最後の学校生活を、明るく元気に過ごして」と、和歌山市築港の細畠清一さん(86)は20日、母校の市立雄湊小学校に、シクラメン10株を贈った。
細畠さんは、湊南(そうなん)尋常小学校(現雄湊小学校)に通い、校舎の敷地内に自宅があったことから、青年期の思い出を同校とともに刻んできた。
来年春には、同校を含む小中学校4校が統合し、伏虎義務教育学校となることから、細畠さんは思い出深い小学校に何かできないかと考え、寄贈を決めた。
母校を訪れた細畠さんは「中学3年まで過ごした場所。坂を駆け上がったり、グラウンドを庭のように走り回ったことが懐かしい」と感概深げ。
昨年の夏にも同校で、5年生に自身の戦争体験を語っており、この日は授業をした現6年生の児童とも再会。代表で薗田香誠君がピンクや赤色のシクラメンを受け取った。
書家の細畠さんは、書の道を志すきっかけをもらったのも、同校での山本興石氏との出会いだったという。贈呈に同席した長女の美鶴さんは「家があったことに始まり、戦時下の体験など、この場所には父の人生が凝縮されているようで、父もまたその思い出に支えられてきたように思います。学校がなくなってしまうのは寂しいですが、子どもたちにも、ここでの友人との絆や思い出を大切に紡いでいってほしいです」と話した。
10株のうち、事前に届けられた5株はすでに教室内に飾られ、同校の川本美紀校長は「教室内が華やかになり、みんな喜んでいます。大先輩の思いを、子どもたちにも伝えたい。新校舎にも飾れれば」と話していた。