河島敬蔵の業績紹介 桃山学院で特別展

日本初のシェイクスピア劇翻訳者として知られる和歌山市出身の教育者、河島敬蔵(1859~1935)を中心に、シェイクスピア研究に取り組んだ人物とその業績などを紹介する特別企画展「シェイクスピアと桃山学院」が2月28日まで、大阪府和泉市まなび野の桃山学院大学聖ペテロ館「学院史料展示コーナー」で開かれている。

シェイクスピアの没後400年を記念する特別企画で、同大と泉大津市教育委員会が主催。

河島は幕末の1859年に紀州藩士の家に生まれ、10歳で藩立の学習館で漢書を学び始め、同館付属の洋学寮で英語とフランス語も学んだ。1876年に立教学校(現・立教大学)に入学し、1882年には大阪英和学舎の英語教師となり、同学舎の図書室でシェイクスピア戯曲全集と出合う。

本格的な英文学研究がほとんど行われていなかった当時にあって、河島は苦心しながらシェイクスピアを読み進め、1883年に「日本立憲政党新聞」紙上に『ジュリアス・シーザー』の翻訳『欧州戯曲 ジュリアス、シーザルの劇』を連載。日本で初めて原文によるシェイクスピアの完全な逐語訳を世に出した。

河島はその後、和歌山に帰郷し、紀の川沿いの伊都郡大谷村でシェイクスピア全集の翻訳に着手。全37編中、22編を読破、翻訳している。

企画展では、こうしたシェイクスピア翻訳者としての河島の業績を詳しく展示している他、旧制桃山中学校などで教壇に立った教師としての河島の姿や、河島と同時代にシェイクスピアの翻訳に取り組んだ坪内逍遥について、桃山学院に足跡を残した他のシェイクスピア研究者なども紹介している。

午前9時から午後5時(入館は4時半)まで。土日・祝日は休館。問い合わせは同大聖ペテロ館(℡0725・54・3131)。

河島敬蔵(竹村覚『日本英学発達史』より)

河島敬蔵(竹村覚『日本英学発達史』より)