熊楠らに光を当てた展覧会 22日~田辺市で
田辺市の市立美術館(たきない町)と熊野古道なかへち美術館(中辺路町)で22日から9月24日まで、特別展「自然を追い求める 写すこと、想うこと」が開かれる。世界的な博物学者の南方熊楠の生誕150年を記念。いずれも自然を写すことから世界に思いをはせた、熊楠、美浜町の画家・雑賀清子、白浜町の水中写真家の内山りゅうの3氏に焦点を当てた展覧会。主催する市立美術館では「身近な自然を改めて意識してもらう機会になれば」と来館を呼び掛けている。
田辺市立美術館では、熊楠が晩年まで精力を傾けて作成した菌類図譜を前期・後期に分けて計90点展示。熊楠と同じように熊野の自然に親しみを持ち、制作へと結び付けた画家・雑賀清子さんの水彩植物スケッチなど40点を公開する。
また、熊野古道なかへち美術館では、和歌山の水環境を愛する写真家・内山りゅうさんが日本各地で撮影した淡水写真15点を紹介する。
和歌山市で生まれた熊楠は、田辺市を後半生の研究と生活の拠点にし、採集したキノコを画用紙に細密に描写、彩色するなどして生態を英文で記録した。
雑賀さんは美浜町出身。1980年代ごろから、なかへち周辺に通い、植物を観察。草花に自分の存在を重ね合わせながらスケッチを描き続け、ことし4月に他界した。
内山さんは、生き物を取り巻く水環境の撮影をライフワークに活動し、清らかな水に引かれて東京から白浜町に移住。今展では、自然界が有する生態系の貴さを訴える写真が並ぶ。
関連企画として、熊楠の菌類図譜に関連した公開対談が9月2日午後2時から、田辺市立美術館研修室で開かれる。萩原博光さん(国立科学博物館名誉研究員)、飯沢耕太郎さん(写真評論家・きのこ文学研究家)が話す。
また、内山さんのギャラリートークが8月19日と9月9日の午後2時から、熊野古道なかへち美術館展示室で開かれる。どちらの企画も観覧料のみ必要。
熊楠の菌類図譜は、前期(7月22日~8月20日)、後期(8月22日~9月24日)で全て入れ替え。
午前10時から午後5時(入館は4時半)まで。休館は毎週月曜(ただし9月18日は開館、翌19日は休館)。入館料は市立美術館600円、熊野古道なかへち美術館400円(ともに一般)。問い合わせは市立美術館(℡0739・24・3770)。