預手プランで詐欺防止へ 北署と金融機関
増加傾向にある特殊詐欺の被害防止対策を進めるため、和歌山北署と同署管内金融機関防犯協議会は、高齢者が高額出金のために金融機関を訪れた際、詐欺の疑いがないかを確認する手順を示した「預手(よて)プラン説明ボード」を作成した。県内初の取り組みで、同ボードを活用した丁寧な声掛けにより、被害の水際での防止に期待が高まる。
預手プランは、高齢者が金融機関で高額出金する場合に、現金の代わりに「預金小切手(自己宛小切手)」による手続きを勧める制度。小切手を現金化する際は本人確認などの手続きが必要で、手続きの履歴が金融機関側に残るため、被害に遭いにくい。
作成された「預手プラン説明ボード」はノート型で、表紙には警察の旭日章が大きく印字され、見開きの右側には、主な詐欺事件の手口から作成したアンケートがあり、「警察や銀行協会から連絡があり、お金を引き出すように言われている」「『名義貸し』は違反と言われ、解決するための出金である」など、該当すると詐欺の可能性がある項目が並ぶ。
左側には、預金小切手を活用する際の流れを分かりやすく解説。右側のアンケート結果などに沿ったチャートが示され、詐欺の可能性がないか、細かく確認できるようになっている。
23日には同署で、管内金融機関防犯協議会の代表者会議が開かれ、同ボードの使用説明や意見交換が行われた。
紀陽銀行和歌山北ブロックの小嶋丈司ブロック長(54)は「お客さまには、現金の受け渡しを依頼した人が本当に困っていたら、小切手を金融機関の窓口に提出する手間を惜しむはずはありませんと声を掛けていきたい。犯人にとっては小切手は紙切れ同然だ」と話し、「自己宛小切手」の活用を積極的にPRするとしている。
森田浩文署長(56)は「ボードの活用は大切な市民を守る金融機関としてのサービスに付加価値を与えるもの。警察と金融機関が一体となれば、大きな成果が生まれるだろう」と力を込めた。
県内のことしの特殊詐欺被害状況は、7月末現在で認知件数が57件と前年同期を24件上回り、被害額は2714万円増の1億3418万円となっている。同署管内は認知件数が9件(前年同期比4件増)、被害額は3346万円(同2845万円増)。