阪南の名物カフェが和歌浦に移転 音工房

名勝・和歌の浦にコーヒーハウス「音工房」(和歌山県和歌山市和歌浦中、平山良一店主)が誕生した。大阪府阪南市で25年にわたって営業してきた名物店の移転オープンとなり、初日の1日から京都や滋賀から訪れていた常連客が和歌山まで足を延ばし、自慢のコーヒーと風光明媚(めいび)な景観を楽しんでいる。

新しい店は、日本遺産の景勝地に溶け込むように建つ、モダンな曲線の壁が印象的な建物。常連客だったこの建物のオーナーが、平山さん(73)に移転オープンを持ち掛けた。阪南市で喫茶店を経営しながら、休日には加太や和歌浦をドライブで訪れていた平山さんは、豊かな自然の中にたたずむこの建物に以前から注目しており、その偶然に驚きながら申し出を快諾した。第二阪和国道の開通も後押しとなった。

「ほれ込んだ場所で、これまで通り、お客さんがゆっくりと自分らしく過ごせる店づくりをしていきたい」。10代後半から47歳で喫茶店を創業するまで、音響関係の仕事に従事していた平山さんは、さまざまなジャンルの音楽に精通し、友人から譲り受けたアメリカ製のジュークボックスを修理して店の一角に置いて使用している。

機械の修理も得意な平山さんは「キチっとはめ込まなければ動かない機械に対し、コーヒーは決まりごとにそれほどとらわれる必要はない。その対比が楽しい」と話す。店のメニューには生豆の煎り方や挽き方の違いで楽しめるさまざまなコーヒーが並ぶ。

「うれしいこと、悲しいこと、いろいろな気持ちを抱えて来られるお客さまに、心地よい音楽を提供したい。コーヒー1杯で何時間でもどうぞ」と平山さん。「新たなお客さまとの出会いがとても楽しみです」と話す妻の邦子さん(64)と共に、温かい笑顔で迎えてくれる。

温かい笑顔とコーヒーで客を迎える平山さん夫妻

温かい笑顔とコーヒーで客を迎える平山さん夫妻