『わすれないよ。』Ruiさん絵本第2弾

 「ありがとう…あなたのことばで僕はすくわれたんだ」――。和歌山市在住のイラスト作家・Rui(るい)さんが2作目の絵本『わすれないよ。』を出版した。いじめを受けた自身のつらい経験を基に、思いやりのある言葉の大切さが、色鉛筆の温かく優しいタッチの絵とともに描かれている。

 自分の気持ちを表現するのが苦手だったRuiさんは、高校時代にいじめのターゲットになり、不登校に。それでも卒業後は理科系大学に進み、歯科衛生士養成の専門学校で国家資格も取得した。しかし、勤め先の歯科医院では人間関係に悩み、退職を余儀なくされた経験がある。

 自らの心の痛みに向き合いながら作品を書き上げ、第1作『だいじょうぶだよ。』は多くの人の共感を呼んだ。

 今作も前作に続いてウサギの「りょうま」を主人公に、シーズー犬の「うめばあちゃん」らが登場する。第1作の完成後、伝え切れなかったことを伝えたいとの思いから制作を進めてきた。

 りょうまは、泣いている子どもを助けようとしたところ、誤解され、過去のつらい記憶を思い出してしまう。

 「はっきり話しろよ!!」「あんな子供をもつ親が気の毒!」。りょうまを深く傷つける言葉の数々は、Ruiさん自身が学校や職場でかつて受けたものであり、今作には心ない言葉で傷ついた人へのメッセージが込められている。
 涙を流すりょうまを、うめばあちゃんたちが温かく励ます。「キズついたぶんだけ、まわりのやさしさに気がつく。そして、まわりに、もっとやさしくなれる。それって、すごいことなんだよ」。

 Ruiさんは「言葉には傷つくものも温かいものもあるので、自分の発している言葉が人を傷つけていないか振り返るとともに、感謝の『ありがとう』が心を救うことを忘れないで」と話す。

 絵本は、宮脇書店和歌山店(同市広瀬中ノ丁)など市内6店舗で販売中。1620円(税込み)。Ruiさんによる朗読とサイン会が17日午後3時から、同店で開かれる。

 問い合わせは『わすれないよ。』ホームページ(http://www.eonet.ne.jp/~manner/)まで。

「多くの方にありがとうの気持ちを伝えたい」とRuiさん

「多くの方にありがとうの気持ちを伝えたい」とRuiさん