珠算、暗算の「十段」2冠 䕃地さん快挙
和歌山県和歌山市和田の会社員、䕃地真菜さん(20)が珠算検定で最高段位の十段を取得し、昨年取得した暗算検定十段と合わせて県内で4人目となる2冠の快挙を成し遂げた。䕃地さんは「そろばんをやってきて良かった」と達成感に笑顔を見せ、今後は計算のスピードを競う競技で上位を狙おうと、さらなる努力を誓っている。
䕃地さんがそろばんを始めたのは4歳の時。まだ数字も満足に書けないほど幼かったが、4歳年上の姉が自宅でそろばんを楽しそうに触っている様子に魅力を感じ、近所のそろばん塾に通い始めた。
小学校の教科では算数や家庭科が好きだった䕃地さんは、物静かにコツコツと練習を積むタイプで、順調に珠算の級位を取得していったが、1級の取得には2度失敗し、初めて挫折を味わった。
「やめたくなったけれど、母に励まされて頑張りました」。検定直前は一日中そろばんをはじき、早く就寝し、当日は手の動きが鈍らないように手袋をするなどの対策を講じ、約1年かけて3度目の挑戦で1級を取得した。
挫折を乗り越えた䕃地さんはその後、着実に実力を磨いて段位を上げ、習い始めて16年で最高位2冠に到達した。
䕃地さんが現在所属する和田そろばんスクールで約2年にわたって指導を担当している和田好晴代表は、十段の実力について「金利や減価償却、ルート計算、三乗根に至るまで、多様性に富んだ計算問題に順応する能力がある」と話す。複雑な文章題を読み解き、解答を得る能力が求められ、その力は数多くの問題をこなし、さまざまな解答パターンを経験、蓄積することで強化されるという。
また、割り算を暗算で行う除暗算問題では、答えを書きながら次の問題を解き、一度出した解答に間違いがないか瞬時に判断できる「ゼロタイム計算」が大切であるなど、十段2冠を達成するには高度な技能を磨き続ける必要があり、䕃地さんはたゆまぬ努力でこの困難な挑戦を成し遂げた。
十段取得に特化した指導をしてきたという和田さんは、䕃地さんについて「素直さや芯の強さ、神経の細やかさなど、珠算を究めるのに必要な資質がそろっている」と高く評価している。
䕃地さんは現在、和歌山市の㈱島精機製作所で経理担当として働き、2冠の実力は仕事でも発揮されている。「請求書の枚数がそれほど多くない場合は、暗算で処理を済ませることができます」とにっこり。
社会人となってからも時間をつくって毎日1時間はそろばんの練習に励む。さらなる技量アップに向けて、挑戦の日々は続く。